大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和36(れ)3 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人岩田渉、同花房節男の上告趣意第一点は、単なる訴訟法違反の主張にほか

ならないものであり(なお、被告人は昭和二五年六月二二日神戸地方裁判所におい

て、傷害、詐欺、同未遂罪により懲役二年六月に処せられ、該判決は同年七月七日

確定したこと及び右詐欺、同未遂の事実は、被告人が単独又は共謀の上昭和二四年

一二月上旬頃から同二五年一月二四日頃までの間一四回にわたつて行つたものであ

ることは、本件記録に編綴されている判決謄本により明らかであるが、その犯罪が

本件詐欺の犯罪中最後になされた昭和二二年六月下旬頃の犯行から約二年五月以上

を経過した後に行われている時期的経過及び両者の犯罪の態様に差異があることに

かんがみ、被告人が当初から同一意思の発動により本件犯罪と連続して右前科の犯

罪を行つたものとは認められない。それゆえ、原判決が、弁護人の右両者の犯罪は

連続一罪の関係にある旨の主張を排斥したのは、相当である。)、同第二点は、事

実誤認、単なる訴訟法違反の主張であり、同第三点は、量刑不当の主張をいでない

ものであつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

弁護人瀬谷信義の上告趣意第一点は、単なる訴訟法違反の主張であり(なお、旧

刑訴四〇三条にいわゆる「原判決ノ刑ヨリ重キ刑ヲ言渡スコトヲ得ス」というのは、

第一審判決の主文における刑よりも重い刑の言渡をなすことを禁ずる趣旨であつて、

本件において、被告人の所論騙取材木の数量につき原判決の認定したところが第一

審判決の認定したところよりも減少していたからといつて、その科刑が同一である

以上、右刑訴の法条に違反し、第一審判決を不利益に変更したものとはいえないか

ら、原判決には所論のような違法は存しない。)、同第二点は、量刑不当の主張で

あつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を精査しても、同四一一条

- 1 -

を適用すべきものとは認められない。

よつて刑訴施行法三条の二刑訴法四〇八条により主文のとおり判決する。

この判決は、裁判官全員一致の意見である。

昭和三六年一二月一九日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 高 橋 潔

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 石 坂 修 一

裁判官 五 鬼 上 堅 磐

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!